【コラム】優しすぎるボードゲームと損益分岐点の話

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知っている人には今更過ぎるお金の話シリーズ第二弾。第一弾では製造原価について書きましたが、今回は損益分岐点について少しだけ書いてみようと思います。つっこんで書くと長くなると思いながら書いたところ、かなりあっさりめな仕上がりになってしまいました。ですので、おまけ程度に関連する部分にも参考程度に触れておこうと思います。



1.損益分岐点、いくつで設定していますか?

一般的に「損益分岐点」とは、売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高(または販売数量)を指します。同人ゲームに変換すると、「製作にかけた費用は、いくつ頒布すれば元が取れるのか?」という採算ラインを計算することができます。
簡易計算の場合はExcelや電卓などで「原価÷頒布価格」を計算しましょう。

【例1】カードゲームを100,000円で100個製作し、ゲームマーケットで@2,000円で頒布する場合
 →100,000円÷2,000円=50個
このケースの場合、50個頒布できれば製造原価が回収でき、それ以上に頒布できた分は次回以降のゲーム製作費などに充てることができます。

【例2】カードゲームを100,000円で100個製作し、@2,000円で頒布する場合。ただしゲームマーケットの出展料が10,000円、会場への往復交通費が3,000円必要。
 →(100,000円+10,000円+3,000円)÷2,000円≒57個(端数切り上げ)

【例3】カードゲームを100,000円で100個製作し、イベント特別価格@1,500円で頒布する場合。ただしゲームマーケットの出展料が10,000円、会場への往復交通費が3,000円必要。
 →(100,000円+10,000円+3,000円)÷1,500円≒76個(端数切り上げ)

例2はゲームマーケットの参加費等を考慮した場合です。例1に比べて少し損益分岐点が高くなっています。例3は更に頒布価格を引き下げたものです。例1と比べると随分個数が増えています。

ゲームマーケットの入場者数が増え続けている現在、例えば初参加でもゲーム100個を頒布することのハードルが(以前と比較して)下がっていると聞いた気がします。しかしながら、会場内に溢れるゲームの中から手に取ってもらうためには宣伝等にもコストを充てる必要があるでしょう。
また、いくら損益分岐点が低くなろうとも、頒布価格が高すぎて値ごろ感を失ってしまったら手に取ってもらえなくなる可能性もあるのです。
損益分岐点は同人ボードゲームの頒布価格を決める際の一つの指標になると思います。



2.頒布価格を決める

「じゃあ適正な頒布価格っていくらくらい?」こう聞かれるとなかなか難しいのですが…。月並みな表現をすると、適正価格は人によって違ってくると思います。

例えば…離島に住んでいて気軽にゲームマーケットに参加できない、100個作って50個くらいは売れそうな見込みがある、などという都合の良い条件の場合、「(100個分の製造原価+ブース出展料)÷50」が最低ラインの頒布価格になるでしょう。もっとも、この方法で求めた頒布価格は必ずしも適正な値付けにはならないと思います。



3.ショップ委託

自作のアナログゲームを頒布できる場所は一回のゲームマーケットだけではありませんし、最近ではゲームマーケット以外の販路も充実してきました。(参考記事:【リンク集】同人ゲームを取り扱っているゲームショップなど
ユーザーと対面でコミュニケーションできるのはイベントの強みではありますが、出展料と交通費、送料等を込みで考えた場合、ボードゲームショップへの委託も選択肢の一つになると考えます。

ここで問題になってくるのはやはり「頒布価格」。直接頒布との一番の違いはショップへ支払う手数料や発送運賃等が発生することであり、その費用を賄うために価格を変更するケースも少なくありません。(このあたりは同人誌の委託販売と同じ事情かと思います)
イベントでの直接頒布とショップ委託の価格差については「委託の場合は手数料が発生するから値段が上がっても仕方がない」、「委託の場合は送料がかかるかもしれないので、ゲームの価格は変えたくない」など、色々な意見があると思います。
いずれの場合もメリット/デメリットがありますので、頒布価格を検討する際に頭の片隅に入れておいた方が得策でしょう。



4.「趣味だから」

前回の末尾にも書きましたが、一個人の趣味の範疇で作っているのであればどんぶり勘定でもなんら困りませんし、赤字でも「趣味への支出」の範囲を超えないなら良いでしょう。
しかし、ゲーム製作を長く楽しむには、最低限の黒字化は必要不可欠だと私は考えています。もちろん、好きなものを好きなだけ作るスタイルも楽しみ方の一つだと思いますし、環境が許すならばそうでありたいものですが。

時間や資金や作業環境など、ゲーム製作には様々な制約が存在します。しかしその制約の中でゲームを作るジレンマさえもゲームだと考えることができれば、全てがきっと楽しくなる?かもしれません。


    


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