ツイッターでI was gameのカレーさんが「アナログゲームの冗長性」について考えておられました。なんとなく返信してしてみたりしているうちに、自分でもちょっとまとめておこうと思い立ったのでコラム化です。
そもそも冗長性ってなんでしょうか?そのあたりからスタートして、割と長期戦が予想されておりますので、眩暈等の変調が見られた方は都度十分に休憩をとってご覧ください(笑)
1.冗長性に対するGoogle先生の見解
そもそも、聞きなれない単語な気がしています。単調とか助長とかは割と聞きますが、冗長って何ぞやって思う人もいるかもしれません。ちょっとGoogle先生に聞いてみましょう。
これが一番しっくりきました。IT用語から抜粋してきているあたりはアナログゲームを語る上で、どうかと思わなくもないですが、私の中でもこのイメージです。
・ゲームの本題に関係ない余計なルール/コンポーネントがある。
・意義が薄い繰り返しの動作や省略可能な動作など、なくともいいプレイ時間がある。
・平たくいうと「何のために、あれをしたのか?!」「この行動の意味は?!」とか思う。
言葉にしろと言われると難しいですが、凡そこんな感じです。まさに「必要(最低限)のものに加えて、余分や重複がある状態」ですね。ゲームは遊びなので最低限まで切り詰める必要があるかどうかは議論の余地が十分にありそうですが、あまりに必要のないと感じるものばかりだと問題です。
創作の場面では、余計だったり、過剰すぎると感じるルールやコンポーネントをさしていました。冗長性という言葉にマイナスの意味合いがあります。
2.冗長性に対する今回の見解
しかし、今回のカレーさんのイメージは寧ろプラス側でした。
私の残念なネガティブさが浮き彫りになった瞬間です(笑)
「文脈により、何かに備えてあえて付加した余裕を意味する場合がある。」
おそらくはこの部分のことで、ツイッターから敢えて言葉を借りると
・ゲームが多様な展開や状況を許容できる状態。その程度。
(例えば「序盤に失敗してもそのまま続けられるゲームは冗長性がある」)
序盤の運要素や失敗によって、2時間クラスのゲームの開始15分で脱落してしまったり(あるいは脱落していると強く感じたり)すると、確かにさびしいものです。しかし、拡大再生産のようなゲームにおける序盤の小さな差は、グラフ(縦軸を得点、横軸をラウンド数とか)の傾きのようなものになり、終盤での大きさな差になります。実質上、「カタンは初期配置で決まる。」なんて言葉も聞いたことがありますね。
しかし、カレーさんの語られるような良い意味での冗長性があれば、最初の小さなミスぐらいはゲームの懐の深さでカバーし、酷いことにならないでしょう。これはゲームにとってひとつの理想かもしれません。挙がった例は「マジック・ザ・ギャザリング」のライフの話でした。
3.MTGのライフの例
MTGとも略されるこのゲームは、対戦相手のライフ20ポイントを先に削り切ったら勝ちという、カードゲームです。これがもし5ポイントしかなければ、1ポイント当たりの比重が4倍程度になることになります。逆に20ポイントあることで、序盤の小さな失敗によって先に2~3ポイントのライフを削られたところで、それは全体の10~15%分、負けに近づいたことにしかならず、後半巻き返せる可能性が十分にある。つまり、序盤の失敗や事故に対して懐が深い。冗長性がある。という例です。5ポイントしかなければ、もう半分以上勝敗が決まってしまうことになります。
実際に、このゲームをやり込んだことがある人の中には、「序盤の失敗は巻き返せません!」と思う人も多いかもしれませんが、それはボードアドバンテージやハンドアドバンテージ、テンポアドバンテージと言われる(わからない方は無視してください!)ライフ以外のアドバンテージの取り合いの中で、総合として巻き返せないということであり、ライフだけ見れば上記のようなことが当てはまると言えるでしょう。
さらに、ゲーム全体を20というライフで細分化(カレーさんの言葉を借りると1/20で管理する)することで、「相手にダメージを与えることができた!」というゲームの結果に大きく影響しない小さな成功を創ることができ、これがゲーム中の達成感や快感、モチベーションの維持につながるのでは?という見解です。つまり、冗長性を持つゲームのメリットがここで2つあげられています。
・些細な失敗や事故で脱落者が発生しない。
・ゲーム中にたくさんの「小さな成功・達成」を味わうことができる。
4.今回のまとめ
「すげぇ!冗長性さんマジぱねぇっす!」
こんなゲーム、創りたいですね!しかし、冗長性ってどうやれば付加・実装できるのでしょうか?冗長性屋さんで買ってきて、アロンアルファでくっつければいいんですかね?ちょっと意味が解りません(笑)
しかし、考えるべきことははっきりした気がします。
この2つのメリットを持つゲームをなんだか創りたいわけですから、その方法を模索していこうではありませんか。
でもその前に、私はふと思うのです。「ゲーム結果に大きく影響しない成功」が本当に達成感につながるのでしょうか。MTGの例も挙がったところで次回はここについて、書いていこうと思います。
この分だとパート4ぐらいまで行きそうですが、今回はここまで。まだまだ続きます。。