【コラム】冗長性を考える。(その2:小さな成功)

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グラフ上の決闘

冗長性を考えるコラム、その2。前回を引き継いで、今回はゲーム中における小さな成功について、つらつらと書いていきます。

【コラム】冗長性を考える。(その1:冗長性って何?)


1.「小さな成功」って嬉しいの?

前回MTGのライフの例をあげました。ライフによる1/20単位での管理を行うことで序盤の小さな失敗は挽回することができ、しかも「小さな成功」をたくさん演出することが可能になるという例です。
一方、MTGの序盤のこのケースにおける「小さな成功」が本当に嬉しいのか?「小さな成功」などと呼ぶにふさわしいものなのかというと話は変わると思っています。
例えば、相手のライフを2・3ポイント削ることができたとして、それに快感を感じるかとどうかいうと、相当怪しいところです。嬉しいか?嬉しいか?と10回ぐらい聞かれれば、確かに嬉しくなくはないけれど、成功か失敗かと言われれば、成功ではあるのだけれど・・・
正直なところ、2・3ポイント削ったという事実があるだけで、大して意識するにも値しない。というのが、私の感想です。

もちろん、前回少し触れた「ライフ以外の様々な要素」のほうが実は重要だったりするということもありますが、何故に仮にも成功がそれほど嬉しくないのでしょうか。
おそらくは、この「小さな成功」は成功として認識されず、ゲームの勝利という目的に対するステップ、いわば通過点としてしか認識されていないことが、この主な理由でしょう。このステップが一定以上大きければ、例えばゲームを決定づけるほどであったり、ほかのプレイヤーを引き離すものであれば、それは文句なく成功として認識されるでしょう。


2.冗長性のアンチシナジー

今回で語っている冗長性とは、きっと以下の2つ。(前回より)

・些細な失敗や事故で脱落者が発生しない。
・ゲーム中にたくさんの「小さな成功・達成」を味わうことができる。


しかし、些細な失敗がゲームの結果にほぼ反映されないのであれば、そこで失敗しない様に頑張る意味がなくなります。即ち、そこで失敗しないかったという(あるいは些細な成功をしたという)達成感や成功感はゲームに慣れているプレイヤーほど、感じることができなくなるでしょう。
些細な失敗で大きな差をつけたくない。しかし、差をあまりに小さくすればMTGの私のように、後者のメリットを感じることがなくなってしまいます。
程度問題と言ってしまえば、それまでかもしれませんが、これは冗長性を考えるうえで、根幹を揺るがす由々しき事態です。


3.本当に成功を感じられないのか?

それは人によります。これで終わらせてしまうのが一番早いのですが(笑)、もちろん、必ずしもそうとは限りません。テーブルゲーム以外の例を少し上げてみましょう。

【ローグライクの場合】
ツイッターで、カレーさんが冗長性の話題で「風来のシレン」をあげておられましたが、ローグライクのゲームは確かに、冗長性っぽいものをもっています。
目的はゲームのクリアであったり、今のダンジョンの攻略です。これがアナログゲームでいうところの勝利にあたる部分だとすると、ダンジョンの途中での効率の良いレベルアップや、強力なアイテムの獲得・キープといった「小さな成功」は確かに嬉しいし、達成感があります。かといってそれが出来なかったからと言っても、後から巻き返すことができ、ダンジョンの攻略するものが否定されるわけではありません。
あれ、イケてるじゃないですか。これ。

【ダイエットの場合】
例えば、〇日までに〇キロ痩せるなんて、目標を立ててダイエットを始めたとしましょう。もちろん、ゲームの勝利に相当するのはこの目標の達成です。
ここでも普段より食事の量を減らせた、運動を頑張ってみた。少し体重が減ったなんて「小さな成功」がかなり嬉しいかもしれません。それがモチベーションにもつながりますね。


っと、こんな感じで明らかな「通過点」であっても成功感は得られるものです。しかし、テーブルゲーム(やはり拡大再生産をイメージするのが良いでしょう)とは大きく違う点が2点あります。

(1)勝利が目的であれば、あくまで競争。目標数値が動く!逃げる!
(2)テーブルゲームには本当の意味での予想外の展開がない!



4.目標が動く!逃げる!

電源ゲームにしても、ダイエットにしても、最終目標の位置が変更されることはありません。(もちろん、自主的に変えるようなことはあるかもしれませんが)しかし、対戦ゲームはこうはいきません。
ローグライクであれば、良いアイテムが獲得できなくとも、それは本当に些細な失敗です。しかし、となりでもう2~3人が同じダンジョンを攻略しているのです。その誰よりも短いターン数で攻略することがゲームに対戦に勝つことと考えたとき、序盤でいいアイテムを引けたか、引けないかは大きな差で、それによって勝負アリになる可能性も否定できません。
本当にローグライクであれば、対戦相手の事故死、後半での奇跡的な運などによって巻き返すこともあるでしょうが、テーブルゲームは基本的にそうできていないでしょう。頑張って積み上げてきたものが最終ラウンドで即死脱落なんてゲームはちょっと考えたくありません。
テーブルゲームでは成功が(勝利だけを本当の目的とするならば)相対評価です。一方、ローグライクやダイエット(あるいは他のどんな例でも構いません)は決まっているゴールにいければいいのですから、その過程での小さな成功は絶対評価です。

プラスの結果でも相対化すればプラスかどうかはわからない。成功感は意外と難しいところにあるといえるでしょう。


5.予想外の展開はない!

さきほど、最終ラウンドで即死脱落なんてない話などに少し触れましたが、テーブルゲームに予想不可能な展開はありません。え?あるでしょ?と思う方もいるかもしれませんが、全てのルールや要素はプレイヤー全員に公開・共有されていて、その中で起きうることしかおきないのです。
多少、意外な展開やドラマチックな展開はあるかもしれませんが、電源ゲームのようにマスクデータはありませんし、急に知らない強い敵が出てきたりはしません。ダイエット中に、トラブルが続いてストレスで食べまくってしまうような外部要素の介入もありません。
しかも、せいぜい2時間程度ならば、記憶や流れが途切れることもない。先を見通すことはそれほど難しくないのです。(今回の2つの例に比べれば・・・ですが)

どうなるか本当にわからないから、目先のステップでも十分な成功と言える。というより、先を考えても仕方がないから、今の「小さな成功」を十分に喜ぶ。今回の2つの例にはこんな側面もあるのかもしれません。


6.今回のまとめ

それじゃあ、やっぱりテーブルゲームでは冗長性を持つことはできないのか?
そんなことはありません。最初に失敗したプレイヤーも最後まで十分に楽しめるテーブルゲームは世の中にたくさんありますし、実は上記の2つの例にも十分なヒントはあります。
今回は長い記事になってしまいましたが、次回はいよいよ、解答編(私の回答編)。
私の考える王道的な冗長性の実装方法を紹介致しましょう。

【NEXT】 その3:実装例前半


 


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