【ロストレガシーレジェンド創作ノートその1】分析!ロストレガシー!

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この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2014の5日目の記事として書かれましたが、複数部構成のうちの一部です。
当記事は『ロストレガシーレジェンド(以下LLL)』のセットである『暗黒議会』の創作を思い出しながら書かれたノートで、オチやまとめがありません。ロストレガシーのルールを知っている必要もあります。もう少しコラムっぽい記事を読みたい方は以下の記事をご覧ください。

 前談:【LLL創作ノートその0】引用型で行こう!



はじめに

皆様こんばんは。引用型パワーのおかげで長年続いた重度の肩こりが治り、10年ぶりに砲丸投げができるようになりました!操られ人形館の常時次人です。
さて、アドベントカレンダーの当日記事となりますが、前談 1を長くしすぎましたので早速本題に入りましょう。
LLLで創作ノートです。

少し前回の記事を読み返しますと、どうやら私は

  【ステップ1】:引用元ゲームの分析。(ルールの意義や意図を探る。)
  【ステップ2】:変更点の決定。
  【ステップ3】:歪みの補正とバグつぶし。


という3ステップを経て、LLLの『暗黒議会』をデザインしていったようです。今回のケースは引用型も引用型。引用しすぎてシリーズものですよ、という引用しないわけにはいかない引用型 2ですから、間違いはなさそうです。
正直なところ、その都度考えをメモしていたわけではないので、実際に考えていた内容からの抜けは相当あると思われますが、ステップに沿って順番に見ていきましょう。

【ステップ1】:引用元ゲームの分析。(ルールの意義や意図を探る。)

今回の記事は『暗黒議会』を創ろうとするに際し『ロストレガシー』のシステムを分析していった過程を書いていこうと思います 3
言い訳を最初にしてしまうと、ここに書いている分析結果が正解である保証はどこにもありません。
カナイさん木皿儀さんに「わかってないな!いい加減にしなさい!」と怒られることも十分考えられますが、私は叱られても懲りない不良なので些細な問題ということにします。


『勝利条件』を分析する。

いきなり分析といわれても、どこから手を付けるかわからないかもしれません。
一番良いのは、遊んでいるだけで自然に気になるポイントが浮かび上がってくることです。寧ろ、着眼点がない場合はここでストップをかけるべきですが、それだと話のネタにならないので、触れやすいポイントを見てみましょう。
触れやすいポイントの代表格がこの『勝利条件』です。『終了条件』と置き換えても良いかもしれません。これはどのゲームにも必ず存在する項目 4で、しかもプレイにおける目標地点になるためウェイトが大きいです。気にしておいて損はないでしょう。

さて、そろそろ創作ノートらしくLLの話題にシフトしていきましょう。私がLLで最初に確認すべきと思った要素が勝利条件です。LLには勝利条件は2つあります。具体的には

  (1) 他のプレイヤーが全て脱落したら勝利
  (2) 探索フェイズで「失われた遺産」を発見で勝利


です。少し寄り道になりますが、ここで避けて通れないのは『ラブレター 5』の存在。きっとLLはラブレターからの引用型 6だという点は考えずにはいられません。
つまり、LLがラブレターのどこを変更したのか。言い換えるとLLとラブレターとの差分を見ることで、LLの大枠を探る作戦なのです。ちなみにラブレターの場合は(2)が異なり、

  (2) 山札がなくなった時点(LLでいうなら探索フェイズに入る時点)で
      手札の数字が一番大きいプレイヤーが勝利。


となっていますね。この2つの勝利条件がどんな意味合いを持つのかを考えてみます。


(1) 他のプレイヤーが全て脱落したら勝利

この『脱落』というのは非常に分かりやすく直感的な判定基準です。面倒な得点計算や複雑な判定基準もなく、勝ち負けを判断することができます。
勝者に達成感を与えつつ、一方で敗北したプレイヤーも原因となったトリガーを明白に理解することができるため、リプレイ意欲にも繋がります。ラブレターでは(1)に大きくフォーカスがあてられており、カードの効果にも脱落を発生させるものが多くみられます。


(2) 探索フェイズで「失われた遺産」を発見で勝利

LLとラブレターの最もわかりやすい差分が(2)の『探索』という要素です。
ラブレターのメインとなる勝利条件はおそらく(1)でしょう。一方でLLは探索を新搭載したことで、その差分を有効活用するためにも(2)がメインとなってきます。
プレイヤーはラブレター以上にカードのありかを推測することとなりました。遺産の所在という新しいキーが用いることで、多様性・戦略性を強化しようとした意図 7が見られます。また探索フェイズにフォーカスをあてたことで脱落の機会が自然に減りプレイヤーが最後までゲームに参加できる可能性が高まりました。
そして素晴らしいのは、探索により「自分の決定により、自分が勝利する」を盛り込んだ点かもしれません。あるプレイヤーを『脱落』させる冴えたアクションは残ったプレイヤー全ての得になりますが、LLは自分自身の冴えたアクションで直接的に勝利を掴むことができます。 8

LLの肝はいうまでなく『探索』でしょう。そして素直にとらえれば、この部分にさらなる戦略性を付加していくことが本家LLの意図と同じ方向性を持ったセットになりそうです。
LLLの中でも 9『偽典』は探索対象を変更することで、『天の羽衣』は(2)の先に新たな勝利条件を追加することで、LLの意図を活かしていると想像できます。
一方で敢えて(1)にフォーカスを戻したセットが『ヴォーパルソード10かもしれません。とはいうものの、LLを完全にラブレターに戻そうとしているわけではなく、『兵士』『騎士』のポジションとなるカードを確保しつつも、騎士にあたるカードを再利用可能な遺産に充てることで、遺産の登場時期によりゲーム展開がラブレターっぽくなったり、LLっぽくなったりするという変形式モデルに仕上がっています。
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『1枚の手札』『全部で16枚』も分析する。

これもLL(&ラブレター)のとっても大切な要素です。最大のポイントと言っても過言でありません。それぞれにどんな意味合いがあるのかを抑えずにはいられなかったのですよ。。。
便宜上、文章にしやすいメリット・デメリットを書き出していきます。

(1)1枚の手札のメリット・デメリット

メリットをざっくり挙げると、

①シンプルな二択の提供、プレイが楽!
やはり、誰でもプレイできる敷居の低さがここでも提供されています。
テキストの書かれたカードがいっぺんに手札に来ないので、テキスト慣れしていない人にも安心です。

②手札の指定・把握も楽!
通常、手札が複数枚あるゲームでは手札のカードを参照する際に1枚引いて判定してみたり、枚数を確認してみたり、ちょっと面倒な処理が含まれがちです。
手札が1枚であれば、他のゲームではややこしくなりがちなギミックも搭載しやすくなります。

③「残す手札」と「使う手札」の比重が同じになる!
手札が1枚しか残せないということは、手札に残すカードをプレイするカードと同じぐらい意識し続ける 11ことを意味しています。どちらを残すか。ジレンマの肝といっても過言ではありません。

④凶悪なコンボの存在を許容する。
手札が1枚しか残せないことで、強力な効果の組みあわせがあったとしても、その発生率を下げることができます。
手札に「1」を持っている状態で「手札比較で相手を脱落させるカード」を使うとちょっと反則的な強さを発揮しますが、同時にそれらが揃う機会が限られるため、理不尽というよりも劇的な展開という印象が喚起されたりします。


とりあえず、こんな感じでしょうか。(今思い出せた分)
逆にデメリットも考えてみます。これはほぼ1点に集約されると思っていますが

①プレイヤーの選択権の阻害。
極論は同じカードや似通ったカードばかりを引いてしまうケースの存在です。
手札が1枚しかないことが、同じカードが手元に揃ってしまったプレイヤーから本来与えられるはずの選択権をボッシュートします。「×」を3連続で引いて・・・というやつですね。
そこでLLは「7」「8」「×」といった複数枚存在するカードに対し、「相手の手札を当てる」等の手札選択以外の選択権を発生させる効果や、「手札を交換する」効果を持たせることによって、このデメリットをフォローしているように見えます。 12


(2)全部で16枚であることのメリット・デメリット

こっちも見てみましょう。
メリットは、

①プレイ時間の適度な短縮!
一発脱落を含む凶悪なカードを許容でき、派手な演出が可能となります。何といっても繰り返しのプレイに最適です。
何だか同じことばかり書いているようですが、同じ方向性の要素を幾重にも搭載し、コンセプトをはっきりさせることは安定した面白さを担保するために必須なのでこれは極ノーマルな結果です。
酷い極論ですが、ストイックでアブストラクトな『将棋』の中に、逆方向とも言えるランダム要素が無為に幅を利かせると『将棋コイントス13になってしまうかもしれません!

そしてデメリットとしてはこれだけが気になります。

①4人プレイ時の山札の不足、不平等感。
意外とこれを感じたことのある人、いるのではないでしょうか。
全部で16枚のLLを4人でプレイした場合、セットアップで5枚が消費されるため、各プレイヤーには3回しか手番が回ってきません。順当に手番が繰り返されると四番手のプレイヤーは2回しか手番 14を行わずに山札が尽きてしまいます。この場合、なんと33%も手番回数に差があり、ここに「同じ手札を引く現象」が重なるとちょっと悲しくなります。
この問題には少々乱暴な方法ではありますが『脱落』が薬になっています。参加プレイヤーを変則的なタイミングで減らすことで1人あたりの手番回数を増やし、不平等感を緩和してくれます。 15
LLLの中でもこの点に着目したと思われるセットが存在しており、『無我の境地』の『発動』、『赤ずきんは二度寝る』の『パス』は、山札を消費せずにプレイヤーに手番を回すギミックといえるでしょう。また16枚を32枚にし、さらにプレイ人数を二人に固定することでこのデメリットを跡形もなく吹き飛ばすという強烈なセット 16も存在しました。


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各数字のカードに割り振られた役割を見てみる


ここまで見てきたら、残るLLの大きな要素はなんでしょうか。私は『数字』と『カード効果』だと考えました。
要素モリモリなゲームではありませんから、この辺りまでは抑えておきたいものです。

  「1」「2」「3」「4」「5」「6」「6」「7」「7」「7」「8」「8」「8」「×」「×」「×」!

これはなんでしょう???
LLの16枚のカードの内訳です。これを4種類のグループに分けました。(ここまででも効果や数字の件には触れているので以下の内容には重複する部分が多くあります。ご容赦ください。)

  ⇒グループA: 「1」「2」「3」「4」
  ⇒グループB: 「5」
  ⇒グループC: 「6」「6」「7」「7」「7」「8」「8」「8」
  ⇒グループD: 「×」「×」「×」


このグループ分けはランダムで行われたものではありません。それぞれのグループは私の偏見によって割り振りされてしまったのです!


(1)グループA: 「1」「2」「3」「4」

グループAは遺産よりも数値が若いカードたちです。つまり、所有者に「探索フェイズで遺産の場所を判断し、自らの手で勝利する機会」を与えるカードになります。
また各1枚であるため、数値のバッティングによる探索権利喪失の心配もありません。より若い数字を持つプレイヤーが先に遺産を見つけてしまわなければ、探索チャレンジができる探索優良児たちです。
またLLであるが故に許される「強力な効果」もこれらのカードに割り当てられる傾向にあります。これは探索フェイズに向けてこれらのカードを取っておくか、捨てて強力な効果を放つかという、基本的な二択ジレンマを演出するためだと推測されます。
ここで少し創ることに思いを馳せると、「探索向けに残したい」&「1枚なので基本的には一度以下しか使われない」という事情は、デザイナーが自由な効果を割り振ることが許容されるカード枠ということを暗に示しているかもしれないことに気が付きます。若い数字には思い切った効果を搭載できる!これは朗報ですよ。


(2)グループB: 「5」

遺産だ!!!探索の花だ!
本来ならグループAに含めても良いかもしれませんが、「持っているプレイヤーは探索フェイズで見つからない限り確実に勝利することができる」いう点は確認をしておかなければいけません。これが誰かの手にあればグループCを持つプレイヤーの探索失敗が自動的に決定します。考え様によっては最強の探索カードです。
また探す対象である以上、基本的には「公開されていてはいけないカード」です。誰かの手札にあるか、遺跡に入っているか。途中であれば山札にあるか。
これを実装するためにもっとも簡単な手段としては「プレイすることができない」という効果を持つ遺産が存在したりします。捨て札になるべきでない遺産が仮に捨て札に落ちたときには山札に戻してシャッフルさせるという例外処理が存在するのも探索を守るためのものでしょう。 17


(3)グループC: 「6」「6」「7」「7」「7」「8」「8」「8」
(4)グループD: 「×」「×」「×」


せっかく分けたのにまとめます(笑)。
基本的に探索することが危ういカードたちです。遺産よりも探索順が遅いこと、さらに複数枚あることでバッティングによる探索不可まであり得ます。これらのカードを最後まで残すことは得策ではありません。
カードの効果も比較的大人しいものが多く、グループAやBと比べるとややはずれ感が否めません。もちろん、このような傾向があることにも意味はあるので「探索に弱いカードにはせめて強い効果を付けてあげよう」というような安易な変更実装は危険でしょう。 18
しかし、これらはプレイヤーが積極的にプレイしたいカードと捉えることもできます。特に「×」は最後まで持っていても絶対に勝てないのですから、多くはどこかでプレイされることが約束されているカードです。
実はこれ、創る側からすると凄く便利で、LLの過去のセットではゲームを盛り上げるために必要不可欠な効果が割り振られているケースが多く見受けられます。『魅惑の宝珠』では、「×」が2枚以上捨て札に出ることでゲーム展開が大きく変わるギミックを搭載しており、最もプレイされやすい「×」の特性を有効に活用しています。

こういったカードの役割分担はLLを構成する大事な要素であるとともに、各セットの色がよく出る要素とも言えるでしょう。この数字及び効果の構成を独自に大きく組み直しているのはLLLの中では『宇宙の真理』でしょうか。


おわり(中締め)に

さて、私自身『暗黒議会』を考え始めたあの日 19にはもっといろんな分析をしていたのかもしれませんが、ひとまずこの辺でペンを置きましょう。
こうして分析結果が揃ったところで【ステップ2】に移るわけですが、ここでAdvent Calendar向けの記事は終了です。 20
この創作ノートはまだ続きますが、Advent Calendarはまだまだ続きます!

どちらも次回を楽しみにして頂ければ幸いです。


関連記事のアップ予定表

【LLL創作ノートその2】遺産が3つになりまして。
 年内の早い段階で公開予定です。がんばります。 ギリギリ5日の内に書きあがりました。

【LLL創作ノートその3】16人の役割分担。
 これは書くかどうかわかりません。気長にお待ちください。 何とか完成しました。



この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2014の5日目に参加しています。

明日、6日目は『Junias』の(@thir_teen_さん)です。有名な『赤ずきんは眠らない』を手がけられており、海外進出も盛んに行っておられます。またLLLのセットの1つである『赤ずきんは二度寝る』も手がけられており、LLL仲間としても、記事を楽しみにしています。

Notes:

  1. これも長文につき、体調に異変を感じた場合には速やかに休息を取って下さい。
  2. この短い間に「引用」って何回書きました?
  3. 私は【ステップ1】を行う際に、同時に【ステップ2】に触れる癖があります。今回の内容でも【ステップ2】のためのコメント的なものが含まれています。
  4. 最多得点者が勝利というような勝利条件の場合には、この項目そのものよりも得点する方法が自然と気になってくることでしょう。今日のところは類似項目だと思い込んで下さい。
  5. カナイさんによって発表され、世界に大ブームを起こした名作。陰謀型攻撃により、当文章内で略称を用いると大崩壊を起こす危険性があります。我々は被害を最小限に抑えるため、略称の使用を断念します。
  6. え、デザイナーが同じ?セルフカバーでも引用型は引用型だと、どこかの誰かが言ってました。
  7. 『探索』を実装するために『遺跡』が準備され、新たなフェイズが必要となります。戦略性のためにトレードオフされたのはラブレターの底抜けなまでのわかりやすさかもしれません。
  8. ラブレターはプレイヤーAがコスト(この場合は「手番」と「情報」)をかけてBを脱落させたとき、第三者のCが一番得をするという、王道的な漁夫の利展開を持っています。驚くべきことは、この展開すら面白く感じさせる仕掛けがこのゲームに施されていることです。
  9. 『暗黒議会』を創る前にはLLLの他のセット内容は知る由がありませんでした。これらのLLL分析は完全に後日談です。憎むべき捏造です。
  10. このアドベントカレンダー企画は『I was game』さんの発案により開始されました。感謝を込めて積極的にネタにしていきます!
  11. 手札が10枚のゲームであれば、残った9枚よりも、今使われる1枚を意識することになります。9枚の残りのことまでしっかりと意識できるのは良く調教されたゲーマーだけかもしれません。
  12. 「短いゲームだからそんなレアケースは諦めて脱落し、もう一度やりなさい!」という開き直りを見せないところは素敵です。
  13. 2014年12月1日に発表されたゲームです。
  14. LLのベストプレイ人数は3人だと勝手に思っています。
  15. もちろんテキスト効果によるフォローもあり、「一部の捨て札を山札に戻す」効果は印象に残っています。
  16. この注釈は検閲者によって削除されました!
  17. これを逆手に取っているのは二度目の紹介、遺産を山札の上に戻すという『ヴォーパルソード』。一度でも公開されれば戦乱の門が開かれ、ラブレターと化します。
  18. 「手札に残したくない」「使っても効果が地味」というジレンマが崩壊し、何も悩まずグループC・Dを捌くだけのゲームになりかねないという危険性があります。これらのカードが複数枚(特に3枚)あることもゲーム崩壊の引き金になりかねません。
  19. ここには多少の嘘が存在します。ゲームの分析は創る側に回らなければしないというものではなく、プレイヤーとして楽しむためにも必要なアクションです。『あの日』に分析をしたというよりは、既に知っていたことを頭の中で整理をしたというのがより正しい表現です。
  20. 流石に長すぎるので一旦切ります。尻切れトンボの尻は年内に回収予定です。

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